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社会保険手続きで見る!アナログ事務所とデジタル事務所の違い

社会保険手続きは労働者を雇用したタイミングに限らず、病気やけが、出産、失業、障害、老齢、死亡など時期を選ばず訪れます。従来通りの社会保険手続きは、加入者本人からの情報収集から手続き完了まで間に立って行う作業の手間や時間がかかるイメージがあるのではないでしょうか。

従来通りの方法で手続きすることになるアナログ事務所と、電子申請やクラウドサービスを利用し手続きするデジタル事務所では具体的にどのような違いが出てくるのか気になるポイントです。

そこで今回は社会保険手続きにフォーカスして、アナログ事務所とデジタル事務所を徹底比較していきたいと思います。

社会保険とは「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の総称

社会保険手続きは個々のライフイベントごとに必要になりますし、申請手続きは様々なタイミングで発生する可能性があるので、社会保険の広義と狭義を踏まえて実際の社会保険手続きをイメージしていきましょう。

広義の社会保険とは

病気やけが、出産、失業、障害、老齢、死亡などに対して必要な保険給付をおこなう公的な保険のこと。

狭義の社会保険とは

「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」の3つをまとめた総称。

健康保険

病気やけが、またはそれによる休業、出産や死亡といった事態に備える公的な医療保険制度。

厚生年金保険

会社などに勤務している人が加入する年金。

介護保険

介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるしくみが介護保険制度。

具体的な申請手続きタイミング

具体的な申請タイミングを考えてみると、社会保険被保険者になったタイミングで「被保険者資格取得届」に被保険者に関する情報を記入し申請する必要がありますし、扶養者については「被扶養者(異動)届、第3号被保険者関係届」にて家族の情報を記入し申請します。

また、病気やけがによる休業期間に傷病手当金の給付を受けるためには「傷病手当金申請書」を提出しなくてはなりませんし、出産に伴う休業期間の所得補償を受けるためにも出産手当金の申請を行うことになります。

社会保険手続きを依頼するなら提出代行もしくは事務代理

先に見てきた通り、社会保険の手続きでは加入時だけでなく健康保険、厚生年金保険、介護保険それぞれ必要なタイミングで手続きしなくてはなりません。

とはいえ、社内の人事や労務担当者はその他の仕事も抱えていますし、スピードと正確さを保つために社会保険労務士へ依頼するケースは一般的ですが、社会保険手続きを依頼する場合の、提出代行と事務代理の2パターンについて振り返って見てみましょう。

提出代行

提出代行はあくまでも申請書等の提出手続きの代行であり、申請書や添付書類が事実に基づいた内容であることの確認と提出が業務範囲です。

提出代行サービスはスポットで提供している事務所も多いため、基本的には自社で対応している企業も必要に応じて利用しやすいでしょう。内容によって単価は異なりその都度料金が発生しますが、5,000円程度からスポット依頼可能です。

事務代理

提出代行の業務に加え、申請が通らなかった場合にも申請内容に責任をもって行政機関等に対する主張や陳述などを行うところまでが業務範囲です。

事務代理では提出代行の業務が含まれることもあり、料金についても20%程度上乗せしているケースがあるようです。法に基づいて全てを任せたい企業は事務代理を利用することをお勧めします。

ただし、社労士契約時に提出代行と事務代理の明確な説明を受けることはあまりないので、ご自身で確認されると良いかもしれません。

アナログ作業だと郵送の手間と時間が余計に必要

社会保険の加入手続きは、強制提供事務所なら加入条件発生から5日以内に提出する必要があることを踏まえて、従来通りアナログ作業で社会保険手続きを行う場合の申請フローを振り返って見ていきましょう。

手書きで行うアナログ申請の流れ

  1. 従業員情報収集・管理
    採用時や本人情報変更時に本人から収集する従業員情報も手書きの依頼だと記入時間や双方のやり取りに手間がかかります。また、紙を保管して管理するため情報更新のミスが発生することも考えられるでしょう。
  2. 扶養者情報の収集・管理
    扶養者情報は入社時だけでなく、変更があったタイミングですみやかに手続きを進める必要がありますが、従業員情報収集の際と同様に記入時間や双方のやり取りに手間がかかります。
  3. 申請書の記入(全部記入していかなくてはならない)
    申請書の記入についても、全て正しい内容を手書きするのには時間や労力がかかること間違いありません。
  4. 提出する為に封筒など準備※返送必要なものだと返送用の封筒も封入
    手書きした申請書は郵送にて提出することとなりますが、封筒へのあて名書きも手書きになりますし、返送が必要な場合は返信用封筒を忘れず準備し同封する必要があります。
  5. 郵便局やポストに持っていく
    封筒の準備ができたら、切手を貼り郵便局やポストへ投函する必要がありますが、その他業務の合間に対応するのは意外に難しいものです。
  6. 受理を待ちそこから健康保険証が届く
    健康保険証は受理を待ちそこから郵送されて来ることになりますが、郵便の往復時間が余計にかかってしまいます。

社会保険手続きに関するあるあるとして、被保険者に子供が含まれる場合や妊娠している場合など早めに健康保険証や証明書の受け取りを希望されるケースがありますが、従業員やご家族を介して情報を集め、申請しなくてはならないため希望通りにならないのが現状です。

また、電子申請ポータルのe-govは従業員登録ができるわけではないので、入力については手書きとほぼ同様のフローになり、入力作業の時間と手間は掛かります。

クラウドサービスを利用すると郵送の手間がゼロ

先に見てきた手書きで行うアナログ申請の流れと比較して、クラウドサービスを利用した電子申請では具体的にどのような工程が削減可能なのか見ていきましょう。

マネーフォワードクラウド社会保険、SmartHRなどを利用した電子申請の流れ

  1. 従業員情報収集・管理
    従業員の基本情報(名前・メールアドレスなど)を担当者が登録し従業員招待を完了すると、詳細情報は本人にて登録することも可能になるため、収集や管理の手間と時間が大幅に削減できます。
  2. 扶養者情報の収集・管理
    扶養者情報に変更があった場合も紙でやり取りする必要がなく、担当者もしくは本人にて登録内容を画面上で変更可能です。
  3. 申請実行で電子申請完了
    本人もしくは担当者にてすでに従業員情報が登録されており、担当者は申請すべき該当従業員と申請内容を選択するとそのまま申請内容へ反映されるため、申請依頼から申請実行するだけで電子申請が完了します。
  4. 年金事務所などが発行する公文書等もデータにて送付
    電子申請が完了すると、年金事務所などが発行する公文書等もデータにて送付されるので、郵送に関わる手間や時間も大幅に削減されます。

先に見てきた従来通りのアナログ申請の方法と比較すると、保持している従業員情報データが反映されるので入力する箇所も少なく、申請が受理されるまでの時間短縮にもなるということは従業員側にとっても嬉しいポイントです。

また、従業員情報の収集や変更を管理する担当者にとっても、紙のやり取りの時間や手間の削減となることだけでなく、登録ミスのリスクを大幅に下げられるということもメリットとなるでしょう。

クラウドサービスや電子申請に対応している事務所に依頼しよう

正確さとスピード感が必要となる社会保険手続きですが、クラウドサービスや電子申請を利用した場合はどちらも叶えられるということはとても魅力的でしょう。

社会保険労務士事務所に依頼する場合は従業員から収集した情報を連携する必要があるので、先に見てきたそれぞれの申請フローの中に社会保険労務士事務所との連携作業がワンアクション加わります。

つまり、”情報連携”や”コミュニケーションコスト削減”という観点からも、クラウドサービスや電子申請に対応している事務所に依頼することが賢明な選択と言えるのではないでしょうか。

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