社会保険労務士の業務とは
■1号業務■ 申請書等の作成・提出手続等の代行・代理
- 労働社会保険諸法令に基づいて、行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(申請書等)を事業主・労働者等に代わって作成する業務
- 提出代行:申請書等について、その提出に関する手続きを代わって行う業務
(申請書等の提出手続に関して行政機関等に事実上の説明補正等を行い得るにとどまる) - 事務代理:労働社会保険諸法令に基づく申請等又は行政機関等の調査や処分につき、主張や陳述を事業主・労働者の代理人として行う業務
(委任の範囲内で内容の変更等を行い得るのみならず、申請等について責任をもって処理できるよう当該申請等に係る行政機関等の調査又は処分に関する主張又は陳述を行い得る)
つまり⇒健康保険や雇用保険、厚生年金などに関連する書類を作成し、労働基準監督署などの行政官庁へと提出する代行をする業務です。
これらの仕事を社労士が行うことで、手続きのミスや法律違反を防ぐことができます。
企業が従業員との信頼関係を維持するためには大変有効といえるでしょう。
<入社手続き>
- 健康保険、厚生年金
被保険者資格取得届/70歳以上該当届を作成し、日本年金機構事務センターもしくは管轄の年金機構へ提出。
→健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書が通知される。健康保険証は会社に郵送し会社よりご本人へ、もしくは、ご本人へ直接送付(2021年10月より)することで渡される。
また、扶養される方がいる場合は、被扶養者異動届・第3号被保険者関係届を記入し日本年金機構に提出。
→ご家族の健康保険証も郵送されるので、会社からご本人へ、もしくは直接ご本人へ(2021年10月より)渡される。 - 雇用保険 雇用保険取得届を作成しハローワーク適用課へ→雇用保険被保険者証が発行される→事業主へ送付し、事業主から本人へ渡す。
- 労働保険
労災となった労働者がいた場合に、労災給付に関する請求書を作成し、療養の給付などは病院や薬局等を経由し所轄労働基準監督署長へ提出。
6/1-7/10の間に労働保険(労災・雇用保険)の年度更新に関する申告書を作成し所轄都道府県労働局又は所轄労働基準監督署へ提出する。
<定時決定>
原則7/1~7/10に被保険者報酬月額算定基礎届に記入し、日本年金機構に送る。
<随時改定>
被保険者報酬月額変更届を作成し、日本年金機構に送る。
<傷病手当金>
給与に支払いに関する事業主の証明、医師の意見を受けた傷病手当金支給申請書を作成し、協会けんぽ等に送る。
<退職手続き>
- 離職票(3枚複写)を作成し、退職届のコピーを付け、ハローワーク適用課へ→退職者へ雇用保険被保険者証、離職票-1.2を送付する。
- 被保険者資格喪失届→日本年金機構事務センターもしくは管轄の年金機構へ提出。
- 退職者、扶養されている方の保険証回収→日本年金機構(協会けんぽの場合)へ郵送。
■2号業務■ 帳簿書類の作成
労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則や法定3帳簿)(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く)を作成する業務
つまり⇒就業規則や労働者名簿、賃金台帳などが「労働社会保険諸法令に基づいて作成すべき帳簿書類」にあたり、社労士はこれらを法律にのっとって作成するのです。
法律の知識なしに帳簿書類を作ると、場合によっては法律の範囲を超えてしまう危険性もあるかもしれません。帳簿書類は企業の基本ともいうべき書類のため、法律の専門家である社労士がその作成を請け負うことが多いのです。
■3号業務■ 労働・社会保険に関する指導・相談
事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、または指導する業務
つまり⇒コンサルティング業務です。
近年では働き方が多様化し、正社員以外にも契約社員やアルバイトといった形で働く人が多くいます。それに伴い、人事労務の問題も複雑化し、会社内では解決が難しい場面もあります。その際に活躍するのが社労士です。
3号業務である人事労務管理のコンサルティングは、社労士の独占業務ではないものの、難しい判断が必要となるケースも多くあり、プロである社労士の出番となるのです。
■紛争解決手続代理業務■
以下の紛争解決手続代理業務は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、当該社会保険労務士の登録に紛争解決手続代理業務の付記を受けた特定社会保険労務士に限り、行うことができる。
- 行政型ADR(裁判外紛争解決手続):個別労働関係紛争解決促進法のあっせん手続の代理、労働施策総合推進法、障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法の調停手続の代理
- 都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせん手続の代理
- 民間型ADR(社労士会の紛争解決センター等):個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が120万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼主から受任しているものに限る)に関する民間紛争解決手続であって、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること
・紛争解決手続代理業務に含まれるもの→相談に応ずる、和解の交渉、成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること
⇒ つまり、個別紛争当事者のあっせん手続きの代理のお仕事です。
■補佐人としての出頭及び陳述■
- 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
- 上記の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が上記の陳述を直ちに取り消し、又は更生したときは、この限りでない。
⇒つまり、裁判所で陳述できます。