社会保険労務士はどんな申請書を作成してくれる?
社会保険労務士(以下、社労士)に依頼できる業務として、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
「人事関係の書類を作成してくれる」「細かい仕事が得意そう」といったイメージがあるかもしれません。
まさに、人事関係の書類、特に申請書の作成は社労士のメインの業務です。
自社で人事関係の申請書を作成している場合は、社労士に依頼することで手間を省き本業に集中することができますよ。
本記事では、社労士が専門としている申請書の種類と社労士に申請書作成を依頼するメリットについてお伝えしますので、社労士との顧問契約を検討中の方はぜひ参考にしてください。
申請書の作成は社労士が行う業務の代表例
社労士がその資格を利用して行える業務の種類は、社労士法に定められています。
社労士法第2条によると、「社労士は、労働及び社会保険に関する法令に基づいて申請書等を作成・提出の手続きをすることを業とする」とされています。
つまり、人事関係の申請書等の作成・提出は、社労士が行う業務の一つに該当します。厳密に言うと、ここでいう「申請書等」には、申請書のほかに届出書や報告書、請求書などが含まれます。
では、社労士が作成する申請書には、どのような種類があるのでしょうか。
社労士が作成する申請書の種類
社労士が作成する申請書の種類は、大きく以下の4つに分けられます。
・社会保険関係
・労災保険関係
・雇用保険関係
・労働基準法関係
社会保険関係
社会保険関係の申請書には、以下のようなものが該当します。
・被保険者資格取得届:健康保険・厚生年金保険の資格を取得するとき
・被扶養者(異動)届:家族を扶養に入れるとき
・被保険者報酬月額変更届:給与額が大きく変わったとき
・被保険者報酬月額算定基礎届:1年に1回社会保険料を決定するとき
・傷病手当金支給申請書:私傷病で働けなくなったとき
社労士は会社に代わって、従業員の健康保険・厚生年金保険の資格取得時やご家族を扶養に入れるときに申請書を作成します。給与額が大きく変わったときや1年に1回定期には、社会保険料を決定するための書類作成も必要です。また、傷病手当金などの各種手当金の申請書も作成しま
す。
労災保険関係
労災保険関係の申請書としては、以下のようなものが挙げられます。
・療養補償給付請求書:労働災害によって療養を必要とするとき
・休業補償給付支給請求書:労働災害によって働くことができず休業を必要とするとき
・労働者死傷病報告:会社で起きた労働災害の状況を報告するとき
・労働保険年度更新申告書:労災保険料を計算・納付するとき
社労士は会社に代わり、従業員が業務中や通勤中に疾病を発症したりケガをしたりした場合、各種給付の申請書を作成します。また、労働災害(以下、労災)が発生したことにより従業員が死亡・休業したときには報告書を作成・提出しなければなりません。そのほか、労災保険料を計算し納めるための申告書も作成します。
雇用保険関係
雇用保険関係の申請書には、以下のようなものがあります。
・被保険者資格取得届:雇用保険の資格を取得するとき
・被保険者離職票:雇用保険の資格を喪失して離職票を発行するとき
・育児休業給付金支給申請書:育児休業中に給付金を申請するとき
・労働保険年度更新申告書:雇用保険料を計算・納付するとき
・雇用調整助成金支給申請書:事業活動の縮小を余儀なくされたときに雇用維持を図るため休業手当を支払ったとき
従業員が雇用保険の資格を取得するときや、退職して離職票を作成するときには、社労士が会社に代わって申請書を作成することができます。育児休業中の給付金など各種雇用継続給付の申請書も作成することが可能です。労災保険と同様、雇用保険料を計算し納めるためには、年に1回申告書の作成も必要となります。そして、雇用調整助成金などの各種助成金の申請書作成も、社労士の専門分野です。
労働基準法関係
労働基準法関係の申請書の代表例は、就業規則です。就業規則は、常時10人以上の従業員を使用する会社(※)が作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。就業規則の作成・届出業務は、社労士に依頼することが可能です。
(※就業規則の作成・届出の単位は、ひとつの事業場です。事業場とは基本的に、同じ場所で事業を行っている場のことを指します。)
社労士に申請書作成・提出を依頼するメリット
自社で手続きをすることもできる人事関係の申請書。申請書の作成と提出を社労士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
申請書の作成・提出を社労士に依頼することには、以下3つのメリットがあります。
・法的なミスをせずに済む
・給付金を確実に受け取ることができる
・本業に集中することができる
法的なミスをせずに済む
社労士に申請書の作成・提出を依頼することで、法的なミスをせずに済みます。
上記のとおり、人事関係の申請書は公的な保険の権利に関わるものが多く、従業員にとっては病気やケガをしてしまったときや退職したあと生活するために受け取れるお金に関わります。
申請書の作成や提出の手続きにミスをしてしまうと、従業員の家計にも影響を与えかねません。
このような大切な書類の作成・提出を依頼できることが、社労士の機能の一つです。
給付金を確実に受け取ることができる
社会保険などの給付金は、申請に期限が設けられていることが一般的です。
給付金の要件に該当しているのに申請を忘れてしまったり、申請書を完成させないまま期限が過ぎてしまったりすると、本来受け取れる給付金を受け取ることができません。
申請書の作成・提出を社労士に依頼すれば、確実に給付金を受給でき、期限管理などのストレスからも解放されます。
本業に集中することができる
社労士に申請書作成・提出を依頼する最大のメリットは、本業に集中できることです。
一つひとつの申請書の手間は大したことなくても、従業員全員の書類を管理したり作成・提出したりするのは非常に労力がかかります。
社労士に申請書の手続きを依頼すれば、こうした労力をかける必要はなくなります。これらの労力を本業に向けることができるでしょう。
さらに社労士は、人事関係の申請書作成・提出を専門にしておりますので、省力化することも得意です。例えばクラウドシステムを活用することで、データのやり取りや期限管理などの手間を削減し、ヒューマンエラーも減らすことができますよ。
今回紹介した申請書の作成・提出以外の業務については、以下の記事も参考にしてください。
社労士への申請書作成依頼まとめ
社労士が行う主な業務の一つが、人事関係の申請書の作成・提出です。申請書の種類としては、健康保険・厚生年金保険などの社会保険関係、労災申請などの労災保険関係、離職票や助成金などの雇用保険関係、就業規則などの労働基準法関係の4つが挙げられます。社労士に申請書作成・提出を依頼することのメリットは、法的なミスを防ぐことができたり、給付金を確実に受け取ることができたりすることです。
何より、非常に労力のかかる申請書の作成・提出業務を社労士に任せることで、本業に集中することも可能です。手間を省き限られたリソースを本業に集中させたい方は、ぜひ社労士への業務依頼を検討してみてください。