失敗しない!社労士に就業規則作成を依頼するときの4つのチェックポイント 
就業規則の作成中に困ったことや疑問が生じたときには、誰に相談されていますか?
いまは就業規則に関する書籍もたくさん販売されていますし、オンラインセミナーなどで要点を学ぶこともできるでしょう。
具体的な疑問を解消したいときには、社会保険労務士(以下、社労士)に相談するのも一つの方法です。
ただし、「専門家なら誰でも一緒だろう」と考えて依頼すると、欲しいサービスが受けられないことや想像していたような就業規則が完成しないなどの失敗に繋がってしまいます。
そこで本記事では、就業規則の作成を失敗させないために、社労士に依頼するときの4つのチェックポイントを紹介します。
そもそも就業規則とは?
就業規則とは、労働基準法により「常時10人以上の労働者(※)を使用する使用者」に作成・届出が義務づけられている書類です。
(※常時10人以上の労働者がいるかどうかは、一つの会社ではなく、一つの事業場単位でカウントします。)
就業規則には、職場の労働条件や服務規律を記載します。完成した就業規則は、事業場を管轄する労働基準監督署に届け出ることと、従業員に周知することが必要です。
なお、作成した就業規則を従業員に周知せず、会社の金庫にしまっておいているような場合には、就業規則の効力が生じませんのでご注意ください。
就業規則はいつ役に立つ?
就業規則には労働条件や服務規律を詳細に記載しますが、通常どおり業務が回っているときにはあまり参照することはないでしょう。
就業規則が役に立つのは、トラブルが生じたときです。
たとえば、従業員が私傷病により休職を希望してきたとき、ハラスメントの被害が訴えられたとき、未払い賃金が請求されたときなどです。
こうした事例では、トラブルが生じる前に就業規則の条文を整えておかなければ、どのルールで解決すればよいかが不明確になってしまいます。
就業規則は、いつ起こるか分からないトラブルに備えて整えておくべきものなのです。
就業規則の作成でよくある4つの失敗例
社労士に就業規則の作成を依頼するときには、いくつかのポイントを押さえておかないと、以下のような失敗例におちいってしまいます。
就業規則はキレイにできあがったものの使い方が分からない
厚生労働省や大企業のひな型がそのまま使用されていた
賃金制度や評価制度についても相談したかったができなかった
労務管理に関するトラブルが起きたときに就業規則が役に立たなかった
就業規則の使い方が分からない
就業規則は、労働条件や服務規律を詳細に記載する書類です。
読み慣れていないと、どこに何が書いてあるのか分からないかもしれません。
社労士が一方的に就業規則を作成してしまうと、実際に現場ではどのように就業規則を活用すればよいのかイメージがわかないこともあるでしょう。
ひな型がそのまま使用された
就業規則には、ある程度共通する条文はあるものの、各会社の実態に合わせて作成することが重要です。
とくに厚生労働省のひな型や大企業向けのひな型を中小企業の実務に当てはめることはおすすめしません。福利厚生などが手厚い内容になっているかもしれないからです。
就業規則以外のことを相談できなかった
就業規則を作成するほかにも、賃金制度や評価制度の整備を一緒に依頼したいという方もいらっしゃると思います。
しかしながら、就業規則作成のサービスと賃金制度・評価制度構築のサービスが別になっている場合や、賃金制度・評価制度構築を得意としていない社労士には、このような内容を相談することができません。
就業規則が役に立たなかった
重要な条文が抜け落ちていたり、必要のない条文が入っていたりすると、いざトラブルが生じたときに就業規則が役に立たないことがあります。
多くのケースでは、トラブルが生じる前に、そのトラブルを解決するためのルールを就業規則に定めておくことが必要です。
社労士に就業規則作成を依頼するときの4つのチェックポイント
このようなよくある失敗例におちいらないためには、つぎに紹介する「社労士に就業規則作成を依頼するときのチェックポイント」をぜひ参考にしてみてください。
就業規則の運用方法もしっかりアドバイスしてくれるか
自社の実態に合った条文を記載してくれるか
就業規則作成以外にも相談にのってくれるか
就業規則作成の実績が豊富かどうか
就業規則の運用方法もしっかりアドバイスしてくれる
就業規則を作成する作業をメインに行うのは社労士であったとしても、完成後に就業規則を使うのは各会社さまです。
もちろんトラブルが生じたときには顧問の社労士がご相談に対応しますが、自社の就業規則ですから、どのように活用すればよいかを知っておいたほうがよいでしょう。
単に就業規則を作成するだけでなく、どのような場面で役に立つのかもアドバイスしてくれる社労士を選ぶことをおすすめします。
自社の実態に合った条文を記載してくれる
ちまたには、インターネットや書籍、セミナーなどで公開されるものなど、就業規則のひな型が多数あふれています。
どれを見てもほとんど同じような内容に見えるかもしれません。
しかしながら、労働時間や賃金、懲戒などの特に重要な労働条件は、自社の実態に合わせて規定しておかないといざトラブルが起きたときに使いものにならないのです。
就業規則作成の依頼を検討している社労士が、ひな型を流用しているだけでないかどうかを見極めることが大切です。
就業規則作成以外にも相談にのってくれる
就業規則作成のほかに、賃金制度や評価制度の構築なども依頼したい場合には、これらのサービスも含まれているかどうかを事前に確認しましょう。
どちらも得意としている社労士ばかりではありません。別々のサービスになっていることが多いと思われます。
手続きや給与計算、採用、教育などなど、社労士が扱う分野は多岐にわたりますので、自社が解決したい課題を得意としている社労士を探してみてください。
就業規則作成の実績が豊富
そして何より、就業規則を作成してきた実績が豊富である社労士に依頼することが重要です。
労働関係・社会保険関係の法律は改正も多くなされ、毎年のように変更しなければならない部分が発生します。
また、もしもトラブルが生じてしまったときに肝となるのはどの条文であるかということは、就業規則の作成を多く手がけてきた社労士はしっかりと把握しています。
内容に不足なく就業規則を作成してくれる実績豊富な社労士に依頼することがおすすめです。
自社の実態に合った社労士を見つける方法については、以下の記事もぜひご参照ください。
就業規則作成のチェックポイントまとめ
就業規則は、職場の労働条件や服務規律について記載する書類のことです。特に、労務管理に関するトラブルが発生したときに役立ちます。就業規則の作成を依頼する専門家として社労士が挙げられますが、いくつかのポイントを押さえておかないと、自社の実態に合わない就業規則ができあがってしまったり、いざというときに使いものにならなかったりしてしまいます。社労士に就業規則作成を依頼するときには、運用方法もアドバイスしてくれるか、就業規則作成の実績が豊富かどうかなどの4つのチェックポイントをもとにリサーチしましょう。