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【詳説】働き方のニュースタンダードになりつつある「テレワーク」 実施ガイド Part.2

テレワーク実践ガイド2

※本記事は、前後編の「後編」です※

前編では、テレワークの基本的な考え方やメリット・デメリット、また勤怠管理クラウドシステムの有効性についてご紹介しました。

後編となる本記事では、対面しないことを前提としたテレワーク中心の働き方におけるコミュニケーション・情報共有や、社会保険労務士に依頼する場合の注意点などについてお伝えしてまいります。


ぜひ、ご参考になさってください。




コミュニケーション・情報共有



当然ながら、テレワーク環境では対面でのコミュニケーションの機会が激減します。「隣の席のひとに聞く」「通りすがった同僚と雑談する」といったことはできなくなりますので、ツールを活用し、オンラインを前提としてコミュニケーションを設計することが必要です。

チャットツール


チャットツールは、雑談から仕事の進捗確認や伝達など、幅広いコミュニケーションで利用することができます。メールや電話と比較して手軽かつ簡単に利用できるという利点はある一方で、運用においてはいくつか留意すべき点があります。



チャットはメールや電話と違って「ながら対応」ができ、リアルタイムに反応しやすい・反応が帰ってきやすいという特徴があります。一方で、業務によってはチャットを確認することができず、その間に返事の督促が溜まり余計なプレッシャーになってしまったり、退勤後にチャットの通知が来てしまいオン・オフの切り替えができなかったりといった事が起きてしまいがちです。

カレンダーに予定を入れる・確認する、退勤後は相手へのメッセージを控える、反応しなくても良いなどのルールを設けることをおすすめします。

また、文字では感情が伝わりづらく、意図した内容と異なるメッセージを受け取ってしまったり、相手を理解していない状態だと不安感を与えてしまう場合があります。スタンプ・絵文字を積極的に使用する、送信前に見直すなど、会話と同じく相手を配慮したコミュニケーションを取ることが重要です。



下記に、いくつかビジネスチャットツールをご紹介しました。ほとんどのツールでは、DM(ダイレクトメール)といって、一対一のメッセージを送る機能があります。機密情報のやり取りや、プライベートな話題をするにあたっては便利ではありますが、一方でDMでのコミュニケーション=密室でのコミュニケーションが増えると、情報共有や全体のコミュニケーション促進の阻害要因になってしまいます。



「原則DM禁止」や、管理者側でDM使用率をモニタリングして一定以上になったら全体にアラートを出すなど、運用を工夫して使用しましょう。

  • Slack
    • 世界的にも高いシェアを誇るツールです。
    • 絵文字(スタンプ)を独自にカスタマイズ・追加できたり、画面共有をしながらの音声通話ができたりと、自由度が高い運用が可能です。
    • 無料プランあり。
  • Microsoft Teams
    • Microsoftのグループウェア「Office365」に組み込まれているサービスで、「Office365」との連携が可能です。
    • Word、Excel、PowerPointの共同編集や共有が容易にできます。
    • 無料プランあり。
  • ChatWork
    • 日本発のビジネスチャットです。
    • ユーザーIDを知っているひとであれば、社内外問わずに簡単にチャットを送ることができます。
    • 国産ならではの使いやすさがあり、国内のユーザー数は直近3年間でトップです。
    • 無料プランあり。

また、先にご紹介した勤怠管理クラウドサービスとチャットツールを連携することによって、チャットでの打刻や、勤務時間を手軽に確認することができます。ツール・サービス動詞を連携することで、業務の効率化を促進できます。

【例】

オンライン会議システム


リモートワークでは、顧客との商談、社内会議などの実施のため、オンライン会議システムを活用することが定着してきました。従来は、自社内にWeb会議用のサーバーを構築し、専用の機器を使うような方法もありましたが、オンラインであればインターネット環境とPCやスマートフォン、タブレットさえあれば簡単・安価に利用することができます。



「バーチャル背景」機能によって、背景を任意の画像に変更したり、ぼやけさせることができますので、自宅からの接続であっても、プライバシーを守って参加することができる利便性と安心感があります。




こちらも、下記にいくつかのオンライン会議ツールをご紹介します。

ツールやプランによって、同時接続可能な人数や一回の会議時間の上限などに違いがあるため、自社での利用状況をよく把握した上で選定をすることが重要です。

  • Zoom
    • ミーティング内容を、PCのローカルやクラウド上に記録することが可能。
    • チャット機能があり、ミーティング中のチャットを記録することが可能で、AIによる文字起こし機能もあります。
  • Microsoft Teams
    • 上記チャットツールと同じく、Office365に組み込まれています。
    • キーボードの打鍵音や雑音などのノイズをカットする機能あり。
    • チャットツール同様にWordなどの同時編集が容易にできます。
  • Google Meet
    • Googleアカウントさえあれば、簡単に参加が可能です。
    • オンライン、iOS、Androidに対応。
    • オンライン(Google Chrome)の場合には、ダウンロードなどが不要。
  • Cisco Webex Meeting
    • 世界的なシェアを誇るツールです。
    • オンラインでのログインと、PCへのダウンロードの両方が必要。
    • 世界最大規模のネットワークを提供するCiscoならではの高いセキュリティが特徴。

タスク管理



出社時には、誰の仕事がどこまで進んでいるのかを目で見たり、一言二言声をかけて確認していた方も少なくないかと思います。一見すると口頭での確認は手軽で便利に思えますが、どうしても聞き逃す・言い忘れるなどといったことが起きてしまいます。

これまでにご紹介したチャットツールやオンライン会議システムによって、リモートワーク環境でのコミュニケーションが円滑になります。そうなると、業務を依頼しやすいという利点がある一方で、ともすれば出社時よりも業務が増える・チャットで依頼、指示した場合に投稿が流れてしまって見逃されてしまう可能性があります。

「誰が」「どの仕事を」「どこまで進めているのか」を見える化することによって、チームの業務効率をあげることができるツールをご紹介します。

  • Bizer team
    • タスク管理だけでなく、業務の取り組み過程の可視化や、リアルタイムでの進捗状況の確認・共有が可能です。
    • コメント機能があり、業務についての質問や確認、補足などをBizer teamで完結させることができます。
    • よくある業務をテンプレート化することができ、業務の属人化排除・標準化を促進することも可能。
  • Backlog
    • ソフトウェア、アプリなどのサービス開発を前提として作られたツールです。
    • ガントチャートやマイルストーンでの作業計画を簡単に把握することができます。
    • 課題に対する対応状況などの管理もできる、多彩な機能があります。
  • Asana
    • 世界約190カ国で利用されているツールです。
    • 業務の優先順位を管理することが可能で、進捗状況や期限をリスト・カンバン方式・カレンダーなどで簡単に見える化ができます。

Excelでタスク管理を行うことも可能ですが、作業順序や優先順位の設定や、タスクの並び替え(重要度・期限)に制限があったり、作業に細かい追加・変更がある場合には管理が煩雑になってしまいます。また、スマートフォン・タブレットに対応しきれていない機能があったり、Excelに詳しくないと使いこなせなかったりといった特徴があります。



一方で、すでにExcelを使用している場合には、追加費用無しで使用できるなどの利点もありますので、自社の状況や予算によって使い分けをすると良いでしょう。

マニュアル・ノウハウ共有



テレワークでは、「隣の人にさっと聞く」ことができないため、マニュアルやノウハウの共有をすることがより重要になります。オンライン会議システムやチャットツールを使用し、伝えることも可能ですが、ツールを使うことによって、簡単に情報共有ができ、業務の属人化や抜け漏れを防ぐことができます。

  • toaster team
    • 画像、動画、Word、Excel、PDFを添付が可能で、簡単に完成度の高いマニュアルを作ることができます。
    • マニュアルの更新・編集も容易。
    • PC、スマートフォン、タブレットで利用が可能で、多様な職種や業種で活用可能。
  • Teachme Biz
    • 店舗や現場での手順書、マニュアルをもとに作られてツールです。
    • 幅広い業種で活用されていて、画像や動画を交えたマニュアル作成が可能です。動画からの画像の切り出し、画像編集なども可能。
    • 情報の一斉配信が可能で、多店舗展開している企業などでは特に有効です。
  • tebiki
    • こちらも店舗や現場を前提にしたツールです。
    • 動画の自動翻訳機能があり(100カ国以上)、様々なスタッフが居る環境でも簡単な情報共有が可能です。

WordやPower Pointでのマニュアル作成も可能ではありますが、体裁がバラバラになってしまったり、共有場所も一箇所に統一しきれなかったりと、業務効率化までは至らない可能性があります。

テレワークを機会に、業務効率化・標準化に取り掛かってはいかがでしょうか。




テレワーク×社会保険労務士



テレワーク実施にあたっては、社会保険労務士事務所との付き合い方にも変化が必要です。勤怠管理や給与計算などの労務業務をテレワーク対応するにあたっては、クラウドサービスの利活用が有効です。






クラウドサービスを活用することによって、対面・出社することなく、またペーパーレスで業務を進めることができます。一方で、せっかく自社業務をアップデートしても、社会保険労務士事務所で対応できていなければ、業務効率化の効果は半減してしまいます。

当社には、「自社でクラウドサービスを導入したいが、元々顧問をしてくれいてる方が対応していない」「抵抗感を持っているようで、サービス導入が進まない」といったお悩みをいただくこともあります。

テレワークやクラウドサービスへの理解、知見がある社会保険労務士事務所に新たに依頼する、一緒にクラウドサービスについての勉強をするといったことが必要です。

以上、テレワークについてメリット・デメリットから、ツール導入についてご紹介しました。

労務担当の方にとっては、従来の業務をアップデートしたり、クラウドサービス・ツールを導入して効率化したりといった機会でもあります。ご参考にしていただければ、幸いです。

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